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第九章 ガイアの森 ①

 セログラン国随一の高さを誇るセントラルタワー、国全体が見渡させるその最上階に大統領室があった。
 夜に光る街のネオンがまるで光の海のように輝いている。男はただ静かにこの国を見下ろしていた。
 不意に短い電子音が鳴った。
 「ジーン博士がお越しです
 「通せ」
静かに開いたドアから丸渕眼鏡の男が入ってきた。いつも白衣姿の男も今日はスーツ姿であったが、その左口角をあげて笑ったような顔は張り付いたままだった。
 「君がこんな時間に来るとは珍しい」
 「いえ、大統領には早いご報告を、と思いまして」
大統領が何も言わないのを見て、ジーンは言葉を続けた。
 「実は本日、私の研究所のほうにシュナ=ヴァンベルテが参りましてね」
大統領は眉をあげた。
 「・・・それで?」
 「久々に会いましたが、彼女はとても元気でしたよ。健康状態は良好だ、それに・・・そう、この何年かで勇気ある逞しい子に育っているようです」
口角はさらに上がって歪んだ笑顔を向けた。
 「・・・何よりだ」
大統領は顔色一つ変えずに言った。
 「して、ディアナ国の情勢はどのようで?」
 「内乱が続いている状態だ。反政府組織の規模も国外まで拡大してるという、我々が動くのももうすぐだろう」
 「さようで。こちらの準備も着々と進んでおります。今年までには整うかと」
 「それなら結構」
 ジーンは無言で一礼すると足音立てずに出て行った。

 「そうか、シュナが・・・」
大統領、ジュディガン=マーカスは夜闇を眺めながら呟いた。
 あの子と会ったのは何年前のことだろう・・・何十年と経たない記憶がひどく遠い昔のもののように感じた。
 ジュディガンは机の上に立てかけてある古い写真の入ったフォトスタンドをおもむろに手に取った。写真には25年前の日付が薄く記されている。
 「そうか、シュナが」
ジュディガンは写真の中の自身が抱えている小さな女の子を優しくなぞりながら同じ言葉を呟いた。
 
 そこには、シュナが写っていた。



to be continued……



こんな平日お昼に更新とか初めてかもしれないww
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| Children | 11:28 | comments:3 | TOP↑

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第八章 No.000 ⑧

 もう20秒たった?早く数えすぎた?むしろ30秒近くたってるかも。
 駄目だ、落ち着いてシュナ。大丈夫、きっと大丈夫。

 何度も自分に言い聞かせて、恐る恐るダストシューターの縁に足をかけた。
 シューターの中はシュナの肩がギリギリ入るくらいの大きさだった。真っ暗な穴の先からはリーダーからの合図も音も何も聞こえない。落ちる底も見えなかった。
 手に力を入れて腰を落とした。その拍子にダストシューター口におでこを勢いよくぶつけた。

 かすかに服が擦れる音がする
 
 体が真下へと落ちてゆく

 そんなに長くはなかった、乱暴に底に着地する。「イタッ!」何かで右足の脛を切った。
 硬い何かがごつごつとしたものの上に落ちたようだった。立ち上がろうとして今度は後頭部をぶつける。
 何も見えない。手さぐりで周りに手を動かしても壁っぽいもので上も横も囲まれてることしかわからなかった。
 「リーダー?リーダー!?どこにいるの!?やだ・・・狭いのやだ、何も見えない」
自分の声がものすごく震えている。
 そのとき、とつぜん左手首を掴まれた。
 「しっ!」リーダーの制する声がした。
 「り、リーダー?全然見えないよ・・・」
 「パニくんな、俺の目が見えんだろ」
声のするほうを見ると、ぼんやりと白く光っている小さな一点があった。
 はっ、とした。
 そうだ、この目だ。
 ううん、むしろなんで今まで気が付かなかったんだろ。
 シュナはこのとき初めて「目が光っている」ということの不可解さに気が付いた。同時にあのとき見せられた“実験体”とカプセルの並んだ光景が蘇ってくる。
 
 研究所、 実験、 子供、 逃亡、 そして “ナンバーゼロスリー” ───── 
 
 行きつく先の答えがはっきりと見えた気がした。

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| Children | 03:41 | comments:2 | TOP↑

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第八章 No.000 ⑦

 「─────がいだから!リーダー死んじゃやだ目開けて!」
遠くのほうで聞こえる声を頼りに、白くぼやけた視界がだんだんとひらけてくる。
半ば乱暴に身体を揺さぶられて、リーダーは唸りながら目を開けた。
 目の前にシュナの顔が覗き込んでいた。
 「ク・・・ソッ」
 俺は意識を飛ばしたのか・・・?
 頭を回転させようとする気持ちに抗うように、頭にはまだ鈍い痛みが残っていた。
 俺は残った最後のひとりを蹴り上げようとしたのだ。駄目だ。そこまでは覚えてる、そのあとが思い出せない。
 それにこれほどの激痛が襲ってきたのは初めてだ。もうこの身体にもガタがきてるってことか・・・。
 「リーダー!!血!お腹から血が出てるっ!!」
シュナはなおも絶叫気味に言っていた。脇腹あたりを触るとべっとりを赤黒いモノが手のひらについた。
 「・・・っるせーよ、これぐらいなんでもねえ」
傷も出血も致死量じゃない。傷口をまともに見なければ痛みだってたいしたことじゃない。
 リーダーはゆらりと立ち上がった。そして、転がっている男の死体に目を見開いた。
 右目と喉仏、それぞれに試験管が垂直に刺さっている。
 そして隣にいるシュナには、顔に血飛沫が飛び、手にはべっとりと真赤な血をついていた。
 「・・・おまえ・・・・・・」
 「ごめん、振り返るなって言ってたけど、だって銃声が聞こえて」半ば泣きそうになりながらシュナは言った。
 ・・・いや、いい。こいつが殺ったかどうかは。今はここから脱出することだけを考えろ。
 「ダストシューターまでの行き方は覚えてるな」
 「うん・・・、大丈夫」
シュナは自分の顔を強くこすって立ち上がった。

 1キロぐらいあるのではないかと思わされる程、曲がっては同じ光景が広がる細長く白い廊下をふたりは走った。
 リーダーは撃たれた傷を抑えるように上着をきつく腰に巻いていたが、それも気休めにならなかった。じわりじわりとパーカーに黒い染みが広がっている。
 シュナは汗の滲む額を拭った。
 ・・・それにしてもなんか妙だ。
 「お前も思ったか?」
一歩前を走るリーダーが言った。
 「うん、なんか変。さっきから妙に静かっていうか・・・」
 「誰も追ってこねえ」
 それは嬉しい予兆ではなく、逆に不安を掻き立てられるものだった。
 「リーダーが来るとき通った天井の上は?」
 「あれは排気口が限られてる。俺も全部の場所を覚えてるわけじゃねえ、探そうとしたって天井見上げてる間に殺されるのがオチだ」
 「じゃあ、やっぱしダストシューターしか逃げる方法はないってこと?」
 「そういうことだな、どっちにしろ見つかって殺されるかは運だけど」
やっと辿りついたダストシューターを目の前にふたりは立ち止まった。
 わたしは今までの持久走で喘ぐ息を整ええるのに必死だったが、いつも涼しそうな顔しているリーダーもこのときばかりは苦しそうだった。目にかかった髪の毛を掻き揚げる。
 壁にはシュナの肩幅より大きい四角い蓋があり、取っ手を引くと黒々とした穴が現れた。シュナが恐る恐る顔を入れて下を覗いて見たが、穴はまっすぐ下へと伸びていて、先が暗すぎて着地点が見えなかった。
 「それかこのまま表の玄関から堂々と出て行くか、どっちかだな。まあ、この先を落ちてったところで待ち伏せされてたら終わりだけど」
窮地のはずなのに、彼はニヤッと笑う。
 「・・・こっから行こう。玄関よりは・・・助かる見込みがあるかもしれない」
 「わかった。俺から行く。20秒数えたら来い」
 リーダーはダスト口の縁に座るかたちで足を入れる。
 そしてそのまますっと姿が消えた。
 
 いーち、にー、さーん、しーい

 シュナは心の中で、なるべく平常心で数えるように必死に数字を唱えた。
 長い20秒だ・・・

 汗ばむ手のひらを握った───
 


to be continued……



一瞬これまでシュナ視点だったのがリーダー視点に切り替わってます。
それが、前回の「その後の記憶──自分がとった行動はシュナにも曖昧である」の微妙なシュナの記憶ポイント・・・になってるかな?^^


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| Children | 02:29 | comments:0 | TOP↑

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第八章 No.000 ⑥

 「リーダー!?」
一瞬の銃声の音に、シュナは思わず振り返った。立ち止まって耳をすませてみても何の音も聞こえてこない。
 足元からショックにも似た不安の念がせり上がってくるのを感じた。
 リーダーの身に・・・まさか今ので殺されて・・・!?
 そう思った瞬間、シュナは一目散に元来た廊下を戻っていた。「振り返ったらぶっ殺すぞ」なんて言った彼の言葉は思い出されもしなかった。
 さっき来た角を曲がると、廊下の先で数人の兵たち全員がぐったりと倒れているのが見えた。それらの人の塊もやけに廊下の遠い先にあるような気がする。立ってる者はひとりもいなかった。
 「リーダー!!」
 その中にパーカーを着た身体の細い人物を見つけて、シュナは思わず声を上げて走り寄った。
 うつ伏せに倒れていた彼を抱き起こすと、自分の手にべっとりと赤い液体が──血がついたことに息が止まりそうになる。見るとリーダーの左脇腹にも同じ赤黒い染みが広がっている。
 「しん・・・死んじゃ嫌だよ!お願いだから起きて!!」
 必死に身体をゆすった拍子に一瞬彼が眉をひそめたような気がした。
 「リーダー!?」
 シュナが呼びかける。と、同時にその背後でガチャリと物音がした。
 はっと振り向く。
 そして自分に銃口が向けられていることに気付くのにも、そう長い時間はかからなかった。
 ヘルメットを斜めにずれてかぶった兵士が、壁にもたれかかりながら銃を構えてニヤリと口元の端を上げた。
 人差し指が引き金を引く。
 
 もう駄目だ・・・!

 シュナがとっさに目を瞑ったそのとき、カチャンッと軽い音が一発。
 「え・・・」「くそっ!」拍子抜けるわたしの声と吐き捨てた兵士の声が同時に発せられた。
 しかし次の行動に移るのには兵士のほうが幾分も早かった。
 弾が入っていなかったその銃でシュナの横っ面を叩き殴った。その強い衝撃にシュナが弾かれるように倒れ込む。
 目の前が真っ白になる感覚と頭を強く打ったような痛みでシュナは動けずにいた。
 
 その後の記憶──自分がとった行動はシュナにも曖昧である。

 シュナが沈黙しているのを見て、兵士は使える銃を探そうとよろめきながら立ち上がった。
 そして倒れている仲間の兵士の胸元から無線機を半ば乱暴に取ると「対象者二名、確保。対象者確保」とそれだけを報告した。こんな研究所だ、負傷者を報告したところで衛生班などが来るわけでもない。
 これが例のナンバーゼロスリーかよ。たしかに餓鬼とは思えない動きで、装備もしてた俺たちが四人あっという間に伸びちまったぐらいに強かったが。だが腹を撃たれて足元に転がっているのはただの汚らしい乞食(こじき)にしか見えない。
 「くそっ、こんなガキ相手に・・・」
 足先でこいつの頭を小突こうとしたときだった。

 背後からの体当たりに膝ががくんと折れて手をついて前に倒れた。その拍子に持っていた銃が吹き飛ぶ。
 「ぐぉっ!」とっさに背後を見ようとしたその振り向きざまに、顎を勢い良く蹴り上げられ崩れるように仰向けに倒れこんだ。
 そこに腹を殴るように馬乗りをしてきたのは、さっき殴った少女だった。
 「おまえっ!」
 兵士が抵抗するよりも、少女が手を振りかざしたほうが先だった。

 「ぅわわあああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 兵士の右目に試験管がずぶりと突き刺さった。
 細い筒に血が溜まり、溢れるように眼から滴り落ちる。
 「め、めめがっ!目がっ!!目があああああ」
悶え始める兵士の身体からひょいと降りると、少女はまるでポケットから財布を取り出すようにズボンの腰に差し込んでいた口の割れた試験管を手に構えた。
 そして先ほどと同じように振りかざされたそれは、真っ直ぐに目標の位置へと振り下ろされた。
 
 無表情で見下ろす金色の髪の少女が、兵士の左目に映った最期の光景であった
 


to be continued……



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『Children』が1番苦戦しながらいつも書いてる気がします・・・
よく近所に凶悪犯についてインタビューされても「普通な感じで挨拶もする子でしたよ」
って言われてますが、“普通”が案外奥底が計り知れないのかもしれません。
シュナちゃんもまた然り・・・??

・・・駄目だ、物語の先が自分でも見えない(つд∩)

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| Children | 03:35 | comments:10 | TOP↑

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第八章 No.000 ⑤

 リーダーに勢いよく腕を引っ張られ、シュナは膝を打ち付けるように無理矢理しゃがみこまされた。
 しかし、一秒もしない後に自分の頭上をヒュンっと何かが飛び抜けていく音がした。
 「しつけーな」
リーダーの視線の先を見てシュナが背後を振り返ると、廊下の向こうから銃を脇に抱えた男たちがぞくぞくとこちらに走ってきていた。全部で五人。しかも先ほどの白衣を着た人たちとは違い、濃い緑色の戦闘服を着ていて、まるで戦場に向かう兵士だ。ヘルメットまで被っている。
 「いいか」
 リーダーはシュナの肩に静かに手を置いた。
 「この廊下をまっすぐ行って廊下突き当たり左に曲がる。四番目の角を右に行くとダストシュートがあるから、そっから外に出ろ」
 「え、ちょっと待って!リーダーは」
 「俺はお前が通れるようにこいつらぶっ殺してからだ」
 「そんな・・・!無理だよ!」
 リーダーの手がシュナの肩を強く掴んだ。目はまっすぐにシュナの瞳を見据えていた。
 「お前ならやれる。それに俺の近接戦闘能力の高さなめんなよ」
 今までぴくりとも笑わなかったリーダーが、この瞬間不敵にもニヤッと笑ってみせた。
 リーダーはこの状況に笑っているんだ。
 “死に物狂い”なんて言葉は、今まさにこのときにぴったりだ。
 狂ってでも生きて出るほうが、こんな場所で死ぬか捕まるよりよっぽどマシだ。
 そんな思いがシュナの頭の片隅を流れた。
 「いいか、合図と同時に猛ダッシュだ。なるべく低い姿勢で。後ろ振り返ったりしたらぶっ殺すぞ」
 シュナは小さく頷いてみせた。為せばなるように成る・・・!
 こめかみから汗が一筋流れた。
 

 「スリー、」
 
 リーダーが構えの姿勢をとった

 
 「ツー、」
 
 一気に飛び出す
 
 
 「ワン、」
 
 兵士達が一斉に銃を前方に構えた

 
 「ゴー!!!」

 
 爆発音にも似た銃声が一斉に廊下に響いた。
 放たれた銃弾はリーダーを避けるように空を切り、しかしそのひとつはシュナのふくらはぎをかすめて切った。
 ここでひるんじゃ駄目だ!シュナは立ち上がって走り出した。
 リーダーは真ん中に立つ兵士の懐にしゃがみこむと、立ち上がる勢いのまま左手で兵士の持つ銃を跳ね上げ、右肘で相手の顎を突き上げた。反り返った隙に足を払いのけ相手を倒れこませると、隣の男が向けてきた銃を腕ごとねじった。男はその反動で自分に銃が向いたまま引き金を引いた。肩に銃弾が撃ち込められる鈍い音がする。
 次に放たれた銃弾を頭上擦れ擦れで交わすと、相手の構えた腕の下を飛び込むように鳩尾に一撃を食らわせた。前のめりになった男の首の後ろに二発の肘鉄を打ち込む。
 数秒もしないうちにすでに三人が倒れていた。
 シュナは倒れた男たちの上を跨いで廊下の先を急いだ。「左に曲がって四番目を右・・・」、頭の中で順路のフレーズがぐるぐる廻る。
 廊下の突き当たりに出た。Tの字に分かれた廊下は右を見ても左を見ても変わらぬものだった。シュナは迷わず左へと向きを変えた。曲がる直前、横目にリーダーが最後の一人の兵士と取っ組み合いをしているところが映った。
 
 わたしは四つ目の角を目指して走り出した。


 ダーーーーン


 そのとき、後ろで銃弾のはじける音が鳴り響いた。
 


to be continued……





約4ヶ月ぶりの続き更新ヽ(´Д`;)
忘れかけてるであろう前話はこちらから
 

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