| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手
| スポンサー広告 | --:-- | コメント(-) | TOP↑

≫ EDIT

Birds

人間は言うんだ
「鳥はこの大空を飛べていいな」って。

僕たちは思うんだ
「人間は何も背負わなくていいね」って。

僕たちの仕事は、魂を運ぶこと。
すべてのいきものに魂を届け、また魂を還す。



空は雲ひとつなく、頭上にはどこまでも水色が広がっていた。

「空って、こんなにきれいだったんだね」
僕の背中に乗っていた魂が、ぽつりと言った。
「空を見たことがなかったの?」
「ううん。いつも空を、太陽を目指して大きくなろうとしていたよ。」
懐かしそうな、悲しそうな声で魂は言った。
「きみはどうして死んでしまったの?」
「空から苦くて汚い水がボクの体に落ちてきたんだ。そしたらボク、息ができなくなっちゃったんだ。」
「なんで苦くて汚い水が空から落ちてきたんだい?」

そしたら僕の背中にいた魂は、こう答えた。



雲から水が地上に向かって落ちていっている。その中を必死に飛んでいた。

「お空の水は、こんなにきれいだったんだな。」
僕の背中に乗っていた魂が、感心するように言った。
「水を知らなかったのかい?」
「いいや。生まれてからずっと水の中にいたさ。」
ため息混じりに、怒っているような声で魂は言った。
「きみはどうして死んでしまったの?」
「どろどろして灰色の水の中を泳いでいたからさ。」
「なんで水がどろどろして灰色なんだい?」

そしたら僕の背中にいた魂は、こう答えた。



空が赤々と色づいていた。向こうから紺色の空がむかって来る。

「もうちょっと生きてみたかったなぁ。」
僕の背中に乗っていた魂が、懐かしそうに言った。
「生きて何をしたかったんだい?」
「おいしい木の実を食べたり木登りをしたかったぁ。」
あとあれもこれも・・・たくさんの記憶を思い出しているように言った。
「でもお母さんもどこかにいなくなっちゃったし、食べ物も住むところさせなくなっちゃったんだ。」
「どうしてなくなっちゃったんだい?」

そしたら僕の背中にいた魂は、こう答えた。



空には、雲がふわふわと気持ち良さそうに泳いでいた。

「これでやっと仕事から解放されるわ。」
僕の背中に乗っていた魂が、清々しそうに言った。
「魂を乗せながら飛ぶなんて、重くて大変だったわよ。もうこんな仕事したくないわ。あなたもまだまだ若いし大変だと思うけど頑張ってね。」
いろんなものから解放された魂は、楽しそうにぺらぺらとしゃべった。
「あなたはどうして死んだんですか?」
「空気が汚すぎたのよ。空だって私の若いころはもっと青々として毎日飛んでても気持ちよかったわ。」
「どうして空気が汚くなったんですか?」

そしたら僕の背中にいた魂は、皆こう答えるんだ。
「人間のせいだよ。」



空は灰色で、冷たくて白いものがゆらゆらと地上に落ちていっている。

「いやあ、俺の人生よかったよ。」
僕の背中に乗っていた魂が、にこにこ嬉しそうに言った。
「人生良かった?」
「ああ。ま、最後に牛肉でも食えなかったのが心残りだがな。」
何かを思い出しているのか、笑いながら言った。
「きみはどうして死んだんだい?」
「ん?たぶん寿命ってやつよ。」

それから僕の背中にいた魂は、こう言った。
「ああ!人間に生まれて良かったぁ。」



僕は、鳥。
僕たちの仕事は、魂を運ぶこと。
悲しみを持っていた魂はとても重いんだ。

≫ Read More

スポンサーサイト

web拍手
| Birds | 23:36 | comments:7 | TOP↑

| PAGE-SELECT |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。