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衣替えの秋 1

「物語は素晴らしい!」コミュニティ企画  「Autumn Story」お題小説

衣替えの秋s

このたび、FC2ブログコミュ「物語は素晴らしい!」で企画したお題小説において
旅の空でいつか」の花舞小枝の春さんと合作させていただくことになりました!!!!!

ヤタ━━━━━━ヽ(゚`∀´゚)ノウヒョ ━━━━━━!!!


まず春さんが小説、私が絵を描いてお互い交換し その絵や小説を読んで、
春さんが私の絵に物語を、私が春さんの物語に絵を添えさせてもらった次第でございます!!

ということでお互いのブログで同時うpで見合いっこという約束だったのに
私がまたもや見事に2日も遅れさせてしまいましたヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
本当に・・・もう・・・申し訳なくてジャンピング土下座したいほどです><

2回上げさせてもらいますが
まずは春さんが書いた『衣替えの秋』に私が絵を添えさせていただきました^^
春さんの物語は登場人物たちの心情がすごく繊細に書かれていて、私の中では尊敬の域を超えたブロガー様でございます。



春さんのブログにも私が描いた絵に物語を添えていただいたものがあがっておりますので、是非見に行かれてください(●´ω`●)


交換したもうひとつの物語
『火祭りの夜に』 ⇒ 
http://atoznotabibito.blog82.fc2.com/blog-entry-90.html


お題小説「Autumn Story」企画概要
⇒ http://bookn.blog69.fc2.com/blog-entry-264.html




前振りが長くなりましたが、以下本文です。


***************



(髪の毛、色変えてみようかな)

思いついたのは、9月の2週目。
2学期が始まって、まだほんの少し経った頃だ。

今年は秋が来ない、なんて、天気予報では毎日みたいに言われてる。
たしかに、もう9月のはずなのに、
気温は毎日30度を越えて、夜だって25度をこえる。
熱帯夜続き。

本当に今年は、秋なんて来ないのかもしれない。
それでも、何を考えているのかうちの学校は、
2学期に入った途端に制服の衣替えがある。ひといきに、秋服に変わるのだ。
不本意な衣替え。

お天気キャスターが何を言っても、
気温が何度でも、
強制的に、秋はやって来ちゃうのだ。

(……髪の毛の色、変えてみよう)

思いついてからは早かった。
ううん、むしろ、
どうして今まで、そうしなかったんだろう。
そのことの方が不思議なくらい。
私はいつだって、やることがゆっくりなのだ。

もちろん、校則では髪の色を変えることは禁止されている。
でも、
髪色を変えたくらいでは退学にはならないし、
3年の2学期の始まりとはいっても、私は大学進学もしないから
先生からの評価がなんだって、関係ないっちゃ関係ないんだ。

特に勉強したいこともないし、
どこか受けたとしても合格する自信もないし、
浪人するほどのお金が家にあるとも思えなかった私には、
就職、というのが、一番ぴったりな気がした。

学校が終わってから私は
学校には内緒で、近所の飲み屋さんでバイトしているのだけれど、
正社員ではないものの、卒業後はそれなりのお給料で、雇ってもらえることが決まっていた。
こればっかりは、運が良かった。
お店をやってるおっちゃん・おばちゃんにも感謝。

つまり、
進学もしたくなくて、勤め先の保証もあるなら、無理に進学することもない。


(どうせなら、思い切って金髪にしよう)

決めると私は、財布と自転車の鍵だけ持って、家を出た。
向かったのは、1ブロック先にある、幼なじみのアカネちゃんの家だった。



***************



「金髪? クルミが?」

私が言うなり、アカネちゃんは不思議そうな顔をした。

ダメかな? と聞くと、「いや、ただクルミにしては……って思って驚いた」と
アカネちゃんは、大して驚いた風もなく返してくる。

そういう彼女は、
ピアスだっていくつも空いてるし、髪色だって薄い茶色に落としてる。
長い髪の毛は、無造作にまとめあげているだけだけれど、
ハデなピンク色のキャミソールにはよく似合っていて、
ピン、としていてカッコいい。
アカネちゃんには、長い髪がよく似合う。

「学校は?」とも聞かれたけれど、
答えるまでもなく、私が進学しないことを知っているから、
あぁそれは大丈夫か、とすぐに納得される。

ちなみに彼女の場合は、学校に行っていないから、校則は関係ない。

アカネちゃんは、学校に行っていない。
登校拒否、とかではなくて、本当に通っていないのだ。

「毎日学校に通う生活なんてまっぴら」

1年前、そう言いはじめた彼女は、
本当に、その週のうちに、退学届を用意した。
アカネちゃんの学校は即刻、それを受理した。

アカネちゃんは頭がいい。
でも、だからこそ、学校の授業は「つまらない」と言ってマジメには参加していなかった。
守る意味がないと思えば、校則だって守っていなかった。

頭のいいアカネちゃんは、けれど今、通信制の高校に在籍はしていて、
高卒認定をとって、来年の春からは大学に通う予定だそうだ。
アカネちゃんは本当に頭がいいから、第一志望の学校も余裕の判定だそうだ。

受験をしない私には、あまり詳しいことはわからない。

頭が良くて、いつもすごくしっかりしていて、自分の思った通りに行動する。
あと20センチ背が高かったら、モデルさんにもなれたかもしれない。
どうして私なんかと仲良くしてくれるのか、本当にわからない。
自慢の幼なじみだ。


「おばさんたちは?」
その質問には、私は首を振る。
「言ってない。たぶん、年末までは帰ってこないし」
ふうん。そっか。
アカネちゃんは数回、頷いた。

私の家は、両親ともが、それぞれの地方に単身赴任をしている。
私が高校に入る年からだから、もう2年半になる。
そんなにたくさんのお給料をもらっているわけではないはずだけれど、2人とも本当に忙しいようで、
年末年始とゴールデンウィークの数日以外は、なかなか家には帰って来ない。
今年はお盆休みもなかった。

毎日のように電話やメールをくれるし、
2人とも元気そうだから、大して心配はしていないのだけれど。

「クルミ、髪の色染めたりとか抜いたりとか、したことあったっけ?」

これにも、私は首を振った。
初めてだ。
だから少し、緊張している。

ニヤリと笑って、アカネちゃんが言った。

「高校デビューだね。おめでとう」

嬉しかった。
3年の2学期にデビューだなんて、遅すぎる。それはわかってる。
私はいつだって、やることがゆっくりなのだ。
それでも、そうかこれは私にとっては大きな一歩なんだ、って思った。
少しだけ誇らしかった。



***************



真っ黒だった私の髪は、市販のもので自力でやったのでは、うまく変えられないかもしれない。
アカネちゃんのそのアドバイスのおかげかどうか、
ちゃんと美容院に行った私の髪は、その日のうちに無事、金色になった。

真っ黒に、さよなら。

こんな暑い中、暑苦しくて重苦しい秋服を着ないといけないんだもの。
髪色くらい、軽くしたい。

クラスのみんなの驚く顔が楽しみだった。



***************



けれど翌朝、私に待っていたのは驚きの顔ではなく、笑い声だった。

「クルミどうしたのソレ!!」

友人たちに言われて、最初は言われるたびに顔が赤くなるのがわかった。
笑われるとは思ってなかった。

(どうして?)

楽しみにしていた気持ちは一気にしぼんで、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。

「へ、ヘンかな?」

一生懸命に笑顔を作りながら、昼休み、尋ねてみたら、
「そりゃそうでしょ!」ってまた、笑いながら言われた。

「ずっと黒だったからかなぁ?
 やっぱなんか似合わない、ってかさ、クルミってそんなキャラだったっけ?」
「髪金なのに、眉毛、黒のまんまじゃん! それはマズいっしょ」
「てかさ、え、どしたの? まさか高校デビュー? 今さら?」

それから後は、なんだかもう、泣きたかった。

やっぱヘンだよね。

言いながら私も笑ってたけど、もしかしたら、引きつってたかもしれない。
泣かないでいるので、精一杯だった。
だって、笑ってないと、ますます「ダサイ」子になっちゃう気がして。

ヘンだろうなって、自分でもわかってたよ。
なんとなくやってみただけだよ。デビューとかそんなんなわけないじゃん。
言って、自分でも笑って、笑ってもらうこと。
学校を出るまでは、もうそれだけで、イッパイイッパイだった。

しかも放課後には、担任に呼び出された。
校則違反だから、きっと怒られる。
そう思っていたけれど、担任にはなんと、心配されてしまった。

「何か不安なことがあったの?」
「悩みごとがあるなら、なんでも言って。相談にのるから」

別に、特に、ないです。
そうとしか答えられなかった。
だって本当に、昨日何か、特別悲しいことがあったわけじゃない。
別に、としか答えられない。

「本当に、いつでも、何でも言ってね」

それだけ言って担任は、あっさりするほどすぐに、私を解放してくれた。
ますます情けない気分になった。

私はいつだって、やることと言えばゆっくりで、
そしてきっと、どこか、何かがズレているのだ。
テンポも、方向も。

なんで、髪色を変えるくらいのことも、うまくできないんだろう。

朝までの自分が信じられない。
みんなの反応を楽しみにしていた自分を思い出すと、ますます恥ずかしい。
最低の気分だった。



***************



家に帰ると、まだ早いのはわかっていたけれど、
雨戸をしめて、ついでにカーテンも閉めて、
文字通り、私は家に引きこもった。

最低だった。
ガラにもなく、ちょっと、がんばってみたかったのだけれど、失敗だった。
誰にも見られたくなくてずっと、泣くのをガマンしていたのだけれど、
いざ1人きりになってみれば、
ますます、こんなことで泣きたくないな、と思った。
泣いたらきっと、ますます情けない気分になる。

だから、見もしないテレビをつけて、クッションに顔をうずめてゴロンとして、
私は一人、ふてていた。



ピンポーン。



ドアのチャイムが鳴った。
もそっと顔を上げて時計を見ると、もうすぐ夜の10時だ。

こんな時間にうちに来る人、と言えば。
インターホンからは、やっぱり、アカネちゃんの声がする。

「……」

会わないでいることもできた。
でも、相手はアカネちゃん。ムゲにはしたくない。

のそのそと歩いて、私はドアをあける。


「……え、ど、どしたのそれ」

言ったのは私だった。

片手にコンビニのビニール袋を持ったアカネちゃんは、
髪の毛は短く。バッサリと切っていて、その色は金色だった。
長い髪、似合ってたのに。

「いや、別に。何となく」

ちくちくする。
そうも言ってちょっとだけ頭をかいて、アカネちゃんは
「お土産持ってきた」とビニール袋を少しだけ、あげてみせた。

ビックリしている私をよそに、アカネちゃんはいつもと同じように、私の家にあがってしまう。
私はその後に続く。

私が顔を埋めていたクッションの辺りに腰掛けると、
アカネちゃんはまず、ビニールから2本、ビールを取り出した。

「心配無用。ノンアルコール。ま、気分の問題だからね」

私の分のプルトップも勝手にあけて、ぐいっと手渡される。
何も言えないまま私は、それを受け取って腰掛ける。

「じゃ、私の金髪とクルミのデビューに、かんぱーい!」

がちん、と缶をぶつけられて、中身がこぼれそうでわたわたしている私にかまわず、
アカネちゃんは、慣れた様子でグイッとやっている。
けれどすぐに「あんまり美味しくない」と口を離して、
今度はアイスを2つ取り出して、1つを渡してくれる。
私の好物だ。

「……」

よくわからないけれど、受け取りながら、私もノンアルビールを飲み込んだ。
たしかに、あんまり美味しくない。

「でさ、クルミどうだった? その髪型」

アイスを齧りながらアカネちゃんが言う。

「……失敗」

言いながら、私もアイスのフタをあけた。
中身に口をつけていくけれど、3口食べても、4口食べても、アカネちゃんは無言だった。
それで、なんだかもう仕方ない気分になって、私は話し始めた。
どんな気分で登校して、
クラスメイトとどんな話しをして、担任にどんなことを言われて、どんな気分だったか。

最初は、全然、しゃべれることなんてないと思っていた。
だって、
勘違いしてハリキって、失敗して、恥ずかしかった、って、
ただ、それだけの話だ。
それに私は本当に、
本当に、いろいろ、うまくできないのだ。
そんなこと、自分でもとっくにわかっていた。

いつだってノロマで、ズレてて、なんだかいろんなコトが、残念な子。
だから今回も、
ちょっとがんばってみたけど、失敗した。
それだけの話なんだから。

でもアカネちゃんに話し始めたら、
どうしてだろう、止まらなかった。
気付いたら、アイスは床に置いて、ひたすら、私は喋っていた。
喋りながら、どんどん、自分がヒートアップしていくのがわかる。

ビールのせいかもしれない。
きっと少し、酔っぱらった。
ノンアルって言ったって、ちょっとはお酒、入ってるんでしょ?
だからきっと、そのせいだ。

「……っていうかさー!」

気付けば少し、声も大きくなっていた。

「『クルミってそんなキャラだったっけ』って。私のキャラって何? 何で勝手に決めてんの?
 眉毛が黒のまんまって、しょうがないじゃんだって気付かなかったんだもん。
 そんなヘンなら、じゃあ朝イチで言ってくれればすぐどっか行って買ってくるし!
 高校デビューじゃダメ? 今さらじゃダメ? 私じゃダメ? あんな言い方することないじゃん!」

「……」

アカネちゃんは無言だ。
それに対して自分が、よくわからないくらい、興奮しているのがわかった。
興奮? 違う。怒っているのかもしれない。
よくわからない。
わからないけど、なんだか、とまらない。
少し、頭がフラフラする。
やっぱりきっと、酔っぱらっている。

「『何か不安なことがあったの? 悩みごと?』って、アホか!!

そう。
だって、別に、としか言えるわけないじゃないか。
いつでも相談にのるなんて、何で言うんだろう。
今までそんな素振り見せたこともなかったくせに。

不安なことなんて、あるに決まってる。

だって私は、こんなに、別になにもできなくて、
進路だって、みんなが普通に進学して行く中、正社員でもない就職で、
相談したくたって親は2人とも帰って来ないし、
毎日、電話もメールもくれたって、顔見なきゃ本当に元気なのかどうかもわからないし。

それに私は、本当に、何だってうまくできないのだ。
せっかく決意したことでも、あんな簡単に笑われるくらい。

不安じゃないわけがない。
悩まないわけがない。


気付けば声を荒げていた私に、アカネちゃんがアイスのスプーンを差し出して、言った。

「今の気持ちを、何か、ヒトコト」

(ヒトコト……?)

何も思い浮かばなかったけれど、
差し出されたちっちゃなスプーンを受け取って、マイクみたいにしてみたら、勝手に、口が動いた。

「あ、……み、みんなの、アホーーーーーー!!!!」

そして私は、久しぶりに大声を出した。
息をついたら、少しだけ、涙目になっていることに気がついた。

「……」

言いたいこと言って、今度は黙りこんだ私からスプーンマイクを抜き取ると、
「ナイスシャウト、おめでとう」
アカネちゃんがニヤリと笑って言って、
左手に握りしめていたノンアルビールにまた、がつん、と缶をぶつけてきた。

「……ありがと」

今度は私からも缶をぶつけて、一緒に、また一口、飲み込んだ。

「やっぱり、美味しくないね」
アカネちゃんがキレイな顔をぐしゃっとさせて言って、私たちは笑い合った。



***************



溶けないうちにアイスを食べて、あんまり美味しくないビールもちゃんと飲み干してから、
私とアカネちゃんはお風呂場に直行した。
そして今私は、髪の色を染めている。
金髪から、黒に近い茶色に。

アカネちゃんが持っていたビニール袋に入っていたのは、
ノンアルビールとアイスだけではなかった。
栗の皮みたいな色のヘアカラー。
さすがアカネちゃんだ。用意がいい。

「おそろいの色は一瞬だったね」

私の髪をいじりながら、アカネちゃんが言った。

「いや、てゆかさ、アカネちゃんその髪どうしたの?!」

すっかり聞きそびれていた。
「クルミにコツを教えてあげようと思って」
そうアカネちゃんは言ったけれど、コツって何のコツなのか、よくわからない。

首を傾げる私に、アカネちゃんは続ける。

「つまりさ、ヤル時は、もっともっと思い切った方がラク、ってこと。
 髪色変えるんだったら、髪型も、服装も、メイクも、もしかしたら歩き方とかも、
 全部、自分がイメージした、それっぽい感じに変えちゃうの」

そう言えばアカネちゃんは、メイクも変えていた。
服装は、髪をバッサリと短くした分、いつもみたいなボーイッシュなのじゃなくて
少し、可愛らしくなっている。
アカネちゃんは、長い髪がよく似合う。
けれどこうして見てみれば、短い髪もピッタリに見えてきた。

「ほら、絶対つまんないだろってイッパツゲイとかもさ、
 思い切って堂々とやったら、案外イイ感じにいじってもらえたりするじゃん」

たしかにそうだ。

そうか。
私もちょっと、思い切りが足りなかったのかも。


「ま、クルミは今回がデビュー戦なわけだし。
 勝負は、マロンブラウンのこれからでしょ」

マロンブラウン戦は私、全面的にプロデュースさせてもらいますんで。
言って、アカネちゃんは鼻歌を歌いだす。楽しそうだ。

そうか。これからか。

「……ありがと、アカネちゃん。何か勉強になったよ。よろしくね!」

やっぱりアカネちゃんはスゴイ。
そう思ってソレを伝えると、アカネちゃんは笑って言った。
「イヤイヤ。私こそ、あんたのことスゴイと思ってんだよ?」

よく、わからない。

アカネちゃんはスゴイ。
頭がイイ。顔もカワイイ。しっかりしていて、いつも、カッコいい。
私とは全然違う。

もしかしたら、本当だったら私、
アカネちゃんのことをこんなには好きにはなれていなかったかもしれない。
もしアカネちゃんが、アカネちゃんみたいな性格じゃなかったら。

だって、悔しいもん。
私には何にもできないのに、きっとアカネちゃんなら、何でもできる。
もしアカネちゃんが総理大臣になったら、きっと日本はイイ感じになる。
そう思えるくらい。

私にはないものばっかりいっぱい、持ってる。
でも、相手がアカネちゃんだから、
嫉妬とかそういうキモチはおこらない。
だって。

「……アカネちゃん、本当に私のこと好きだよね」
「うん、すげぇ好き」

だってほら、全然迷うことなく、即答してくれる。

私の残念な高校デビューを喜んでくれて、
酔っぱらったみたいなシャウトを祝ってくれて、
リベンジ戦は一緒に戦ってもくれるのだ。

私とアカネちゃんとの両方ともが、もし、女の子を好きになれる人間だったら。
そしたらきっと、アカネちゃんとは両思いのカップルになれたのに。

でも残念ながら、
私はどうやら、恋愛の対象としては、女の子のことを好きにはなれないみたいだし、
それに。

「アカネちゃん、彼氏いるしねぇ」
「え? じいさんのこと? え、何で今その話?」

「別にー」
そう言って首を振れば、ちょっと動かないで、と注意される。

不思議だ。
こんなに両思いなのに、恋人にはなれない。ならない。

でも、よく言うもんね。
彼氏とは別れても、友だちは一生ものだ、って。

間違いなく、アカネちゃんは私の一生ものだ。

「あらためて、よろしくね、アカネちゃん」
「こちらこそ。やるからには、勝ちに行くからね?」

マロンブラウン戦のことだと思っていたらしく、少し、噛み合ない返答だったけれど。
別にいい。
やることは変わらないし、私たちが仲いいことも、変わらない。
何も変わらないから、いいのだ。



***************



お風呂から出て、2人して扇風機にあたって火照ったカラダを冷やしてから、
やっと、私は鏡を眺めた。
ヘアカラーのパッケージよりも、少しだけ鮮やかなマロンブラウン。
たぶん、似合ってる。
少し強気に、そんなことを思った。

今度はマズいノンアルビールなんかじゃなくて、
冷蔵庫で冷やしていた麦茶を2人分、グラスに注ぐ。

「じゃ、マロンブラウン戦に、乾杯!」

がちゃん、とグラスを鳴らして、私たちはそれを一気に飲み干した。

勝負の秋は、これからだ。



『衣替えの秋 2』へ ⇒ 続き

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